ブランディングが及ぼす悪影響
さあ、ブランディングをしよう!とやる気になった皆さま。
ブランディングによって得られる効果を充分に理解し、スタートしようと思いましたね。
せっかくやる気になっていらっしゃるので、ここで水を挿すのも申し訳ないかと思いますが、ブランディングが及ぼす悪影響についても知った上で、しっかりしたブランディングを行なっていただければと思います。
ブランディングは、選択されるために強みや特徴を明確にし、それを公言して約束することです。約束するのですから、約束を破ってしまったら信頼がなくなる、ということはご理解いただけると思います。
取引先がどう感じるかといえば、そういう会社なのだと理解し信頼が下がった会社に対して、それにふさわしい付き合いをしてくれるでしょう。
ところが、社内に関してはもっと大変な影響があります。
社内のモチベーションが下がる!?
ブランディングを行うときは、社内に今後の方針や会社としての約束事など、全て浸透するように進めていかなければなりませんが、これはいわば社員と交わす約束となります。そして社内では決まった方針を元に社員のモチベーションが上がっていきます。
ところが、その方針と違うことを指示してしまった、その方針に基づいた成長を止めようとした、など、上司からしたらちょっとした指示であっても当人にとっては迷いが生じることに他なりません。
こう言っていたのに、違う。そう感じるとモチベーションは一気に下がってしまいます。ブランディングする前の状態よりも悪化することもあります。
大量に社員が辞めてしまうこともありました。
ブランドに賛同して会社のために頑張ろうと思っている社員ほどモチベーションが下がりますので会社としては大きな損失につながります。
こうならないためには、管理職にきちんと方針を理解してもらい腑に落ちてもらう必要があります。何をするにも「会社のブランドに沿っているかどうか」を指針に考えてもらわなければなりません。また、社員とのコミュニケーションの取り方自体もブランドにふさわしいコミュニケーションを体得してもらう必要も出てきます。
社員が辞める!?
先ほど書いた、ブランドという約束を守らないことによる離脱以外に、そもそもそのブランドや方針であれば、この会社にはいられないと思う社員も出てきます。
例えば、会社の特徴としてスピーディーを強みとした場合、もともと時間をかけてゆっくりと仕事をしていた人は、成長の方向として早さを求められることになることで、自分の求めていた仕事ではないと感じることもあるでしょう。
その場合、その社員は退職を選択することも考えられます。
この場合の考え方は2つです。
- 仕組みとして全体でスピーディーに仕事をできるような仕組みを作る。
- 方針が違う人は、その人の方針に合致した会社に行った方がお互いのためであると知る。
どちらを採用しても良いと思います。
ただ覚えておいて欲しいのは、今後会社の採用基準においてブランドに沿った採用を行うので重視する項目が明確になっていきますが、現社員で今後の採用基準にそぐわない人は居づらくなる可能性があるということです。
その可能性を最小限に抑えるためにもブランディングの際には社員の意見や話もきちんと聞いて、自分の考えも踏まえた上で出来上がったブランドであると理解させることが大切です。
人事生産性が下がる!?
社内整備を進めていく上で、どうしても社員の手が取られる部分が出てきます。
売上に直結しない作業が発生してきます。そうした場合、会社の仕事をしているのにその仕事に見合った売上がない、という時期が生まれます。
そうなると売上をきちんと上げなければと、ブランディングを行っている期間、社員の残業が著しく増えてしまうということがよく見られます。
人事生産性が下がるということです。
ブランディングが片手間になり、仕事も片手間になってしまう悪循環に陥り、会社がブランディングを始めるといって仕事を増やされた、という反応が発生してしまうとあまり良い傾向ではありません。
そうならないようにしっかりとフォローすることが大切です。
会社を伸ばす上での一度しゃがみこむ時期だと考えて耐えられるかが勝負です。
人事生産性が下がってしまった時は、何を優先すべきなのかをきちんと決めてから進めることをお薦めします。
いかがだったでしょうか。
ブランディングを行う際には気をつけなければいけないことがあります。ブランディングを行うなら、充分に理解して進めるようにしてください。
うえあおい
ブランドテーラー
ブランディングに携わって15年。いや、20年..ちょっとサバ読みました。
女性向けのブランディングが得意です。