そのロゴ、ただの「飾り」になっていませんか? —— ブランディングの致命的な3つの誤解と、本質的な「答え」
2025.12.26

「そろそろ我が社もブランディングを考えよう。まずはかっこいいロゴを作って、パンフレットを一新しようか」
もし、あなたがそう考えているとしたら、少しだけ立ち止まってください。残念ながら、そのプロジェクトは多額の費用をかけた「お化粧」だけで終わってしまう可能性が高いからです。
多くの人が、ブランディングという言葉に華やかな魔法のようなイメージを抱いています。しかし、実態のない外見だけのブランディングは、中身のないギフトボックスを贈るようなもの。一度開けられれば、二度と選ばれることはありません。
今回は、ビジネスを成長させるどころか、逆に足を引っ張ってしまう「ブランディングのよくある誤解」を紐解き、明日から取り組むべき本当のブランディングについて解説します。
誤解1:「ブランディング = デザインを整えること」
最も多い誤解は、ブランディングを「目に見えるもの(視覚)」だけで完結させてしまうことです。
- 真実:デザインは「結果」であって「目的」ではない。 ブランドの本質は、顧客が抱く「感情」や「信頼」の蓄積です。例えば、スターバックスを思い浮かべてください。あのロゴがあるから行くのではなく、「あそこに行けば、落ち着いた空間と安定した味のコーヒーがある」という期待通りの体験があるから、あのロゴに価値が宿るのです。 デザインは、その「信頼」を識別するための目印に過ぎません。中身が伴わないデザイン変更は、ブランドを強くするどころか、顧客を混乱させるだけです。
誤解2:「ブランディング = 有名になること(認知拡大)」
「テレビやSNSでバズればブランディング成功」という考えも、危険な誤解です。
- 真実:ブランディングとは「誰にでも好かれること」ではなく「選別すること」。 ただ有名になるのは「知名度」です。一方で、ブランディングとは「〇〇といえば、あの人(あの会社)」という独自のポジションを築くこと。 100万人に「名前だけ知っている」と言われるよりも、1000人に「これがないと困る」と言われることの方が、ブランドとしては遥かに強固です。八方美人はブランドを薄めます。誰を幸せにし、誰をターゲットから外すのか。その「勇気ある絞り込み」こそがブランディングの第一歩です。
誤解3:「ブランディング = 広告や広報の仕事である」
ブランディングは広報部やマーケティング部が作る「制作物」だと思われがちですが、これも大きな間違いです。
- 真実:ブランディングは「全社員の振る舞い」そのものである。 最高にかっこいい広告を見てその会社に連絡したのに、電話対応が冷たかったり、納期が守られなかったりしたらどうでしょうか? その瞬間、築き上げたブランドは崩壊します。 ブランドとは、顧客とのあらゆる接点(タッチポイント)の合計です。商品の品質、社員の挨拶、アフターフォロー、SNSの返信……その一つひとつがブランドを作っています。つまり、ブランディングとは「経営戦略」そのものなのです。
ブランディングは「自分たちとの約束」から始まる
ブランディングとは、魔法の杖ではありません。それは、**「自分たちは何者で、誰に対して、どんな価値を約束するのか」**という問いに対し、誠実に答え続けるプロセスです。
外側を飾る前に、内側を見つめること。 流行を追う前に、自分たちの譲れないこだわりを言葉にすること。
「誤解」を解いた先に待っているのは、競合との価格競争から解放され、熱狂的なファンに支えられる、長く愛されるビジネスの姿です。あなたは今日、顧客とどんな「約束」を交わしますか?








